「STPDサイクルというワードを見かけたけどこれって何だろう。PDCAサイクルとどう違うの?」
今回はそんな疑問にお応えします。
世間ではPDCAサイクルが注目されており書籍も多数出版されています。ただし、PDCAサイクルを実践してみたけど成果につながらなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
PDCAサイクルで望んだ成果が出ない場合にはSTPDサイクルを試すとうまくいく可能性があります。
そこで当記事ではSTPDサイクルとは何なのか、PDCAサイクルとの違い、身近なSTPDサイクルの実用例について解説します。
STPDサイクルとは
STPDサイクルとは「See(現状把握)」「Think(分析)」「Plan(計画)」「Do(実行)」の頭文字をとったマネジメント手法です。
ソニーで常務取締役および厚木工場長を務めていた故・小林茂氏が提唱したと言われています。
STPDサイクルは初めにやろうとしていることの状況を正しく把握することから始まります。
それでは「See(現状把握)」「Think(分析)」「Plan(計画)」「Do(実行)」についてそれぞれ解説します。
See(現状把握)
初めに現状を把握し、物事を実施するうえで重要な情報を集めます。現場調査やヒアリング、アンケート実施などが有効です。
この際に先入観を持たずに情報を収集することが非常に重要となります。
主観的な視点で情報を収集すると情報に偏りが出て正しい判断を行えない場合があるため、Seeでは客観的に必要だと思われる情報を収集します。
先入観をなくして、客観的に情報を集める
Think(分析)
Seeで収集した情報が何を意味しているかを分析します。
- 現在がどのような状況で
- それはどのような経緯でそこに行きついているのか
- どのような課題があり、その原因は何なのか
を分析します。
原因を特定することができれば、その原因を取り除くための計画を立てることは容易です。
情報が足りずに課題の抽出や原因の特定ができなかった場合は、Seeに戻ってみましょう。
Plan(計画)
Thinkで特定した原因を取り除くための具体的な計画を立てます。
計画を立てる際は、数値を用いて具体化することによりDo実施時の管理や検証が容易になります。
計画を立てる際は5W1Hや6W2Hを用いることが効果的です。
6W2H : 5W1HにWhom(誰に)、How much(いくらで)の2つを加えたもの
Do(実行)
計画に従って対応策を実施します。
Planで数値目標を立てているので、Doでは立案した計画が適切に進捗しているかを把握することができます。
Doの中で新たな課題が出てきたら、次のSTPDサイクルを回していくことで最終目標までたどり着くことができます。
PDCAサイクルとSTPDサイクルの違い
PDCAサイクルはルーティンワークに適したマネジメント手法です。
もともと生産・業務プロセスの中で改良を必要とする部分に対して、特定・変更できるようにするために提唱されたモデルです。
現代社会では既存の型を踏襲し続けるだけでは大きな成功を収めることはできなくなってきています。
つまり、PDCAサイクルは時代の流れに合っていないため「古い」と言われています。
一方、STPDサイクルは新たに何かに挑戦しようとした際に適したマネジメント手法です。
PDCAサイクルは初めに計画を立て実行に移しますが、新規に始めようとする分野には不慣れであり、いきなり正確な計画を立てることは困難です。
そこで、STPDサイクルにより最初のステップとして現状を把握し、分析することで実施しようとしていることの方向性を見極め、確からしい計画を立てることができるようになります。
STPDサイクルにはPDCAサイクルのように明確にC(チェック)、A(次の計画へ反映)が用意されていません。
C,Aを実施しなくてよいというわけではなく、意図的にDoの中でチェックを実施したり、Seeに立ち返ることが必要です。
このように現状、自身が置かれている状況によってSTPDサイクルとPDCAサイクルを使い分けていきます。
身近なSTPDサイクルの実用例
「新規プロジェクトに参画したけどうまく成果が出せない」という場合を例にSTPDサイクルの利用方法を紹介します。
下記の手順でSTPDサイクルを回しましょう。
See:先送りしている作業や予定がないか確認します。
Think:なぜ先送りしているか考えます。
時間がかかるから
↓なぜ?
苦手意識があるから
↓なぜ?
他にもっと詳しいメンバーがいるのになぜ自分がやる必要があるのか納得できていない
↓なぜ?
上司に押し付けられた作業であり、作業の目的を共有されていない
なぜなぜ分析を行い、問題の真因を特定します。
Plan:状況を好転させるためにできる施策を考えます。
- 上司に作業の目的を共有してもらい、自分の仕事の目的を把握する
- 本当に必要な作業なのか考える(実はやらなくても良い作業だったりしないか)
- 作業を効率化できないか
- その作業でなくても目的を達成させる別の方法があるのではないかと考える
Do:考えた施策を試行錯誤しながら実行します。
- 目的を把握したうえで、ほかに適任者がいる場合は上司と役割分担について話し合う
- 他に有効な作業を行うべきだと上司に進言する
- 効率化手法を実施しその効果を確認する
- 目的を達成するために考えた別の方法を実行する
一通りDoを実行したら現状を再確認し、改善が見られないのであれば再度STPDサイクルを回します。
まとめ
STPDサイクルとは何か、PDCAサイクルとSTPDサイクルにはどのような違いがあるかを解説しました。
◆STPDサイクルとは「See(現状把握)」「Think(分析)」「Plan(計画)」「Do(実行)」の頭文字をとったマネジメント手法
◆PDCAサイクルはルーティンワークに適したマネジメント手法、STPDサイクルは新たに物事を始める際に適したマネジメント手法
◆STPDサイクルはセルフマネジメントにも活用できる
では、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。