PMBOK Guideが定めるコミュニケーションマネジメントの範囲がわかりづらいと感じたことはないでしょうか。
そこで当記事では「コミュニケーションマネジメントとは」「コミュニケーションマネジメント計画の立て方」「コミュニケーションのポイント」についてわかりやすく解説します。
本記事の執筆者
PMBOKの勉強を進めていくと「10の知識エリア」が登場します。この「10の知識エリア」のうち「コミュニケーションマネジメント」は会議予定の設定とコミュニケーションの内容や方法を管理する領域です。
この記事を読めばコミュニケーションマネジメントの範囲、コミュニケーションマネジメントのプロセス、コミュニケーションのポイントについて分かるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
コミュニケーションマネジメントとは
はじめに
PMBOK Guideは大きく「フェーズ」「5つのプロセス群」「10の知識エリア」で構成されています。
「コミュニケーションマネジメント」とは「10の知識エリア」の1つであり、会議予定の設定とコミュニケーションの内容や方法を管理する領域です。
コミュニケーションマネジメント
PMBOK Guideが定めるコミュニケーションマネジメントとは会議予定を設定し、予定に合わせて情報交換し、必要な情報が適切なステークホルダーに伝達されていることを管理することです。
ここで注意いただきたいのが、チームの団結力を高めるためのコミュニケーションのやり方については当領域に含まれていません。
コミュニケーションを通じてメンバーのモチベーションを向上させる役割は「資源マネジメント」が担っています。
メンバーとのコミュニケーションのやり方については資源マネジメント領域で定義されている。
コミュニケーションマネジメントのプロセス
「コミュニケーションマネジメント」と「5つのプロセス群」との関係性について解説します。
5つのプロセス群との対応
コミュニケーションマネジメントは「5つのプロセス群」のうち「計画プロセス群」「実行プロセス群」と「監視コントロールプロセス群」に関係があります。
コミュニケーションマネジメントと各種プロセス群に含まれるプロセスの関係は下表の通りです。
プロセス群 | プロセス |
計画プロセス群 | ①コミュニケーションマネジメントの計画プロセス |
実行プロセス群 | ②コミュニケーションのマネジメントプロセス |
監視コントロールプロセス群 | ③コミュニケーションの監視プロセス |
3つのプロセス
各種プロセスの役割について説明します。
①コミュニケーションマネジメントの計画プロセス
ステークホルダーが欲している情報は何か、その情報をどのくらいの頻度でどのように受け取りたいのかを特定し、会議予定やレポート内容を設定する。
②コミュニケーションのマネジメントプロセス
予定している会議において各種情報を報告する。また、突発的な報告要求にも対応する。
③コミュニケーションの監視プロセス
情報のやり取りが適切に行われているかを監視する。
不適切な場合、対処法を検討する。
コミュニケーションマネジメント計画
「情報のニーズ」および「コミュニケーションの取り組み方」を明確にし、コミュニケーションマネジメント計画書を作成します。
コミュニケーションマネジメント計画書
コミュニケーションマネジメント計画書には会議の種類、定例/随時などの開催頻度、出席者をまとめて記載します。
そのためには、プロジェクトのステークホルダーを洗い出し、各ステークホルダーがどのような情報を欲しているか、またどのような方法で情報を受け取りたいかの特定が必要です。
情報のニーズを明確にする
「情報のニーズ」を明確にするためにはコミュニケーション要求事項分析を行います。
顧客とプロジェクトメンバーでは求めている情報が異なるように、各ステークホルダーの立場や状況を分析して情報のニーズを明確にしていきます。
コミュニケーションの取り組み方を明確にする
「コミュニケーション技術」「コミュニケーションモデル」「コミュニケーション方法」に分けて、コミュニケーションの取り組み方を明確にしていきます。
コミュニケーション技術
コミュニケーションをとる際に電話、メール、チャット、Web会議のどれを用いるのかを明確にする。
コミュニケーションモデル
コミュニケーションロスを軽減する目的で、情報送信者の責任と情報受信者の責任を明確にする。
コミュニケーション方法
情報共有の際に対面会議を行うのか、資料やメールを一方的に送付するだけなのかを明確にする。
コミュニケーションをマネジメントする
コミュニケーションマネジメント計画書で会議予定を設定しました。
その会議予定に合わせて会議を開催し、適切にステークホルダーに対して情報を提供する過程をPMBOK Guideでは「コミュニケーションのマネジメントプロセス」と呼んでいます。
想定外の情報請求への対応
上司からの急な状況報告依頼、不具合発生時に行う顧客への情報共有など予定された会議以外の情報のやり取りも「コミュニケーションのマネジメントプロセス」に含まれます。
ここまでがPMBOK Guideで定義するコミュニケーションマネジメントですが、以下にプロジェクトメンバーや顧客と会話する際に意識すべき事項を紹介します。
コミュニケーションのポイント
PREP法
PREP法とは
- Point:結論
- Reason:理由
- Example:具体例
- Pint:要点
の頭文字をとったもので、この順で説明することで相手にストレスを与えることなく的確に要件を伝えることができるという手法です。
良く「結論から言え」と言われるのはこの法則に基づいています。
顧客の信頼獲得方法
障害発生時こそ密でリアルタイムなコミュニケーション
システムの障害連絡が来た場合に原因究明や対処法の検討に没頭するあまり、顧客へ対応状況を連絡しないと顧客があなたのチームに抱く不信感は大きくなります。
顧客の対面の担当者にも上司がいます。システム子会社の場合、さらに発注元への説明責任もあります。
顧客が求めていることは「障害対応完了」の一言だけでなく、不都合な現状を隠さずにリアルタイムに対応状況を報告することです。
私も「障害発生時こそ密でリアルタイムなコミュニケーション」を徹底したことで顧客の信頼を勝ち取ることができ、後の仕様変更リリース時期調整で他TMが難航している中、私のチームだけこちらの希望を1発でのんでいただけるようになりました。
まとめ
今回は、「10の知識エリア」の一つであるコミュニケーションマネジメントについて解説しました。
◆コミュニケーションマネジメントとは「10の知識エリア」の1つであり、会議予定の設定とコミュニケーションの内容や方法を管理する領域である。
◆会議の目的やメンバー、頻度を明確にするためにコミュニケーションマネジメント計画書を作成する。
◆コミュニケーションマネジメントに関するプロセスは3つある。
◆PREP法に従い、結論から先に述べる。
◆顧客が求める情報とタイミングを見極めて信頼を勝ち取る。
では、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。