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【PMBOK】コスト・マネジメント | 予算超過時は ECRSと予算変更!

利益を出すためにしっかりとコストを管理していきたい。そのために押さえておくべきポイントがあれば知りたい。という方に向けて当記事では「コストマネジメントとは」「コストマネジメントの基本」「コストがオーバーした場合の対処法」についてわかりやすく解説します。

本記事の執筆者
nob
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500万~30億円規模まで様々な案件のプロジェクトマネージャ/リーダを務めています。

PMBOKの勉強を進めていくと「10の知識エリア」が登場します。この「10の知識エリア」のうち「コストマネジメント」は予算内でプロジェクトをやりくりし利益を確保するために必要な領域です。

小さなプロジェクトで最初から全体のコストの見通しが立っていれば、詳細なコスト管理は不要な場合もあります。

この記事を読めばコスト管理としてどのような準備をすればよいのか、コストがオーバーした場合の対処法について分かるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

コストマネジメントとは

はじめに

PMBOK Guideは大きく「フェーズ」「5つのプロセス群」「10の知識エリア」で構成されています。

「コストマネジメント」とは「10の知識エリア」の1つであり、予算管理に関する領域です。

若手管理職にこそPMBOK!10の知識エリアを押さえてベテランの仲間入り初めてPMBOK(ピンボック)という言葉を聞いた方や、勉強してみたけど難しくてよくわからないという方に向けて、PMBOKの全体像をイメージしやすいようにわかりやすく解説しています。...

コストマネジメント

プロジェクトには必ず予算があります。

事前に承認を受けた財源の範囲で、プロジェクトで利用する予算を定め管理していくことをコストマネジメントと言います。

コスト管理のやり方

コストを管理するためには計画として「コスト管理表の作成」が必要です。その際、「コンテ」を忘れずに用意しましょう。また、万が一「コストオーバー」となってしまった場合の対処法も知っておかなければなりません。

コスト管理表の作成

「いつ」「いくら」必要かを管理するためにコスト管理表を作成します。

コスト管理表を作成することで、プロジェクト実行中にいくら予算を消化しているかを把握することができるようになります。

社内プロジェクトなどでは、社員の人件費やオフィス代はコスト管理対象外となる場合があります。

そのプロジェクトではどの範囲のコストを管理すれば良いかしっかりと見極めることが必要です。

コンティンジェンシー予備の設定

コンティンジェンシー予備は現場ではよく「コンテ」と呼ばれます。

コンテとは何か問題が発生した場合に備えた予備費のことです。

つまり、あらかじめ抽出したリスクに対しても予算を用意しておき、そのリスクが顕在化しても対処できるようにしておこうという考え方です。

コストオーバー発生時の対処

実際にプロジェクトの詳細を計画しコストを算出する段階で、案件受注額を上回ってしまう場合があります。

予算がオーバーした場合は次の2つの手法を使ってコストを調整します。

「ECRS」を用いた効率化

プロジェクト憲章や、WBS、ガントチャートを見直して、成果物の機能を簡易的なものにしたり、特定の活動を他の活動と統合したり取りやめたりしながらコストを調整する「ECRS」という手法と取ります。

  • Eliminate(排除)
  • Combine(結合)
  • Rearrange(入替、代替)
  • Simplify(簡素化)

予算変更

顧客から案件を受注した後は難しいかもしれませんが、社内プロジェクトであればそもそもの予算額を増やすしてもらうように掛け合います。

「ECRS」と「予算変更」のどちらを選択したとしても、プロジェクト憲章を承認した決裁者との合意が必要です。

コストマネジメントのプロセス

「コストマネジメント」と「5つのプロセス群」との関係性について解説します。

5つのプロセス群との対応

コストマネジメントは「5つのプロセス群」のうち「計画プロセス群」と「監視コントロールプロセス群」に関係があります。

コストマネジメントと各種プロセス群に含まれるプロセスの関係は下表の通りです。

プロセス群 プロセス
計画プロセス群 ①コストマネジメントの計画プロセス
②コストの見積りプロセス
③予算の設定プロセス
監視コントロールプロセス群 ④コストのコントロールプロセス

4つのプロセス

各種プロセスの役割について説明します。

①コストマネジメントの計画プロセス

プロジェクト憲章をもとにして、②~④までのプロセスをどのように進めるかを定義します。

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②コストの見積りプロセス

各アクティビティを完了させるために必要な予算を算出します。

予算を算出するためには必要な資源の内容と量、そして期間の特定が必要です。

各種アクティビティに対して、次の4つの見積手法を用いて各アクティビティのコストを検討しましょう。

類推見積 過去の類似作業実施時のコストを参考に、今回かかる作業のコストを見積もる技法。
パラメトリック見積 10ページの資料を作成するのに1人日のコストがかかるから、20ページでは2人日分のコストがかかるというように単位時間を見積もってその倍数で見積もる技法。
三点見積 以下の3点のコストに対して加重平均を適用することでコストの期待値を求める技法。

  • 最頻値:問題が発生しない場合にかかるであろうコスト
  • 悲観値:トラブル発生時の最大のコスト
  • 楽観値:好条件がそろった場合の最小のコスト
ボトムアップ見積 下位レベルの構成要素の見積を積み上げて全体の見積値を算出する技法。

③予算の設定プロセス

②で見積もった各アクティビティの予算を合計して、全体で利用する予算を決定します。

ここで算出したコストが、プロジェクトのベースラインになります。

以下の3つをまとめてパフォーマンス測定ベースラインと呼びます。

  • コストベースライン
  • スコープベースライン
  • スケジュールベースライン
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④コストのコントロールプロセス

コストの計画値と実績値の差異を監視し、乖離が見られたら原因の分析と必要な対策を行います。

まとめ

今回は、「10の知識エリア」の一つであるコストマネジメントについて解説しました。

おさらい

◆コストマネジメントとは「10の知識エリア」の1つであり、プロジェクトにて承認された予算に関する領域である。

◆コストマネジメントの基本は「コスト管理表の作成」「コンティンジェンシー予備を設定する」の2つ

◆コストがオーバーした際の対処法としては「ECRS」と「予算変更」で対応する。

◆コストマネジメントに関するプロセスは4つある。

nob
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限られた財源の中でしっかりとコスト計画を立て、プロジェクト内で追加コストが発生しないように管理していくことで利益を上げることができます。

では、今回はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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