実践

交渉力を高める最も簡単な方法は”準備”である

・いつも権力の強い人の言いなりになってしまう
・相手のためと思って頑張りすぎてしまう

こんな自分を変えたいと思っていませんか。

現状を最も簡単に変えるための力は「交渉力」です。

本記事の執筆者
nob
nob
500万~30億円規模まで様々な案件のプロジェクトマネージャ/リーダを務めています。

交渉に強くなりたいのであれば、始めることはたった1つです。

それは「準備」です。

そんなの当たり前じゃないかと思われますよね。

しかし、具体的に何を準備すれば交渉に強くなれるのかを把握している人は多くありません。

当記事では交渉事を思い通りに進めるための準備の方法を紹介します。

交渉力が必要な理由

交渉力を鍛えると仕事面でもプライベートでも自分の思うように物事を進めることが出来るようになります。

仕事で交渉が必要な理由

特に交渉力を必要とするプロジェクトマネージャーについて説明します。

  1. ステークホルダー(関係者)との交渉: プロジェクトマネージャーはステークホルダーとの交渉を通じて、プロジェクトの目標や要件、スコープ、コスト、スケジュールなどを合意する必要があります。
  2. チームメンバーとの交渉: チームメンバーとの交渉を通じてメンバーの役割や責任、タスクの割り当て、優先順位の設定などを調整する必要があります。
  3. リソース調達先との交渉: 必要なリソース(予算、人員、機器、資材など)を調達するために、上司や他の部署との交渉を行う必要があります。
  4. 問題解決のための交渉: プロジェクトで発生した問題やリスクに対処するために、関係者との交渉を行い、解決策を見つける必要があります。

これらの交渉において、プロジェクトマネージャーが優れた交渉力を持っていればプロジェクトの成功率は飛躍的に高まります。

プライベートで交渉力が高い方が良い理由

プライベートでも交渉力が高い方が良い理由は以下の通りです。

  1.  コミュニケーション能力の向上: 交渉力は、相手とのコミュニケーション能力を高めることができます。自分の意見を上手に伝え、相手の意見を聞き取り、双方が妥協点を見出すことができるようになります。
  2. 自信の向上: 交渉力を持っていると、自分の意見や立場を自信を持って主張することができます。自分の利益を守り、良い結果を得るために必要な自信が生まれます。
  3. コンフリクト(もめ事)の解決: プライベートでも、時にはコンフリクトが生じることがあります。交渉力を持っていると、冷静に相手と話し合い、コンフリクトを解決することができます。
  4. 個人的な目標の達成: 交渉力を持っていると、自分が望む結果を得ることができます。例えば、仕事やプライベートで、自分が望む条件を引き出すことができ、より良い結果を得ることができます。

これらの理由から、プライベートでも交渉力を高めることは、個人の生活において大きなメリットがあります。

交渉は準備がすべて

交渉力を上達するためには”準備”が必要です。

スキルを向上させるための前段階の意味での”準備”ではなく、”準備”すること自体が交渉力を向上させることに直結します。

交渉事に臨む際は次の項目を準備してください(事前にメモ帳などに書き出してください)。

  • 目的、目標
  • BATNA(バトナ)
  • ZOPA(ゾーパ)
  • 双方にとって有益なアイディア/選択肢
  • 客観的基準
  • 課題、強み、弱み

ポイントはこれらの項目について、相手の立場でも考えるという点です。

BATNAやZOPAなど見慣れない用語がるので、1つずつ解説します。

目的、目標

相手が何を望んでいるかを探索せずに交渉に勝つことはありません。

相手がYESという落としどころを見つけなければなりません。

相手が何をしたい、どうなりたいという理想に対して先回りして、それに対してどのように攻めるかを考える。

これが交渉のはじめの一歩です。

具体的には、以下のような目的・目標が挙げられます。

  1. 相手との妥協点を見つける: 相手との意見や要望が異なる場合、妥協点を見つけ、双方が納得できる条件を設定することが目的となります。
  2. 自分が望む条件を引き出す: 自分が望む条件や結果を引き出し、相手に納得してもらうことが目的となります。例えば、価格交渉において、自分が望む価格を引き出すことが目標となります。
  3. 関係を維持する: 交渉において、相手との関係を維持することが重要な場合があります。相手に対して妥協的な姿勢を見せ、関係を悪化させないようにすることが目的となります。
  4. 問題解決: 交渉によって、問題を解決することが目的となります。例えば、プロジェクトで生じた問題について、関係者と話し合い、解決策を見つけることが目的となります。

BATNA

BATNA(バトナ:Best Alternative To a Negotiated Agreement)・・・初めて目にする方も多いでしょう。

これは自分が行う交渉事の最終防衛ラインをイメージしてもらえればわかりやすいかと思います。

このラインを越えたら手持ちの最終カードを出すといった具合です。

例:家電量販店で1,000円以上値引きしてくれたら買う。「1,000円未満の値引きだったら(=BATNA)」交渉決裂して”違う店に行く(最終カード)”。

BATNAは、自分がどのような選択肢を持っているかを明確にすることができ、交渉の戦略を立てる上で重要な役割を果たします。

自分が持つBATNAが強い場合、相手に対してより強い交渉ポジションを持つことができます。

また、相手のBATNAを分析することで、相手が持つ交渉ポジションを把握することができ、戦略を立てる上で有利になることができます。

交渉において、自分が持つBATNAを明確にすることは、交渉戦略を考える上で重要なステップの一つです。

自分が最も望ましい交渉合意が得られなかった場合に、どのような選択肢があるかを事前に考え、準備することが重要です。

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ZOPA

ZOPA(ゾーパ:Zone of Possible Agreement)・・・こちらも見慣れない用語ですが、交渉において合意が成立する可能性のある範囲を指します。

つまり、両者が満足できる範囲で合意が成立することができる領域を指します。

ZOPAは、相手と自分の利益や優先順位が異なる場合に、合意が成立する可能性のある範囲を明確にするために利用されます。

交渉においては、ZOPAを特定し、そこに到達するための戦略を考えることが重要です。

ZOPAを超える条件を求めると、相手が合意しない可能性が高くなり、交渉が決裂してしまう可能性があります。

一方、ZOPAよりも低い条件を求めると、自分が不利になってしまいます。

ZOPAを特定するには、相手の要望や条件、限界点などを分析し、交渉に参加する前に、自分自身の利益や優先順位を明確にしておくことが重要です。

交渉においてZOPAを把握することで、交渉戦略を立て、成功に導くことができます。

双方にとって有益なアイディア/選択肢

双方にとって有益なアイデアが必要な理由は、以下の通りです。

  1. 交渉が難航する場合、双方が自分たちの立場から一歩引いて、第三者の視点から問題を見ることで、新たなアイデアが生まれる可能性があります。
  2. 相手に対する理解を深めるために双方が有益なアイデアを出し合うことで、お互いの考え方や要望をより深く理解することができます。相手の意見に対して真摯に向き合い、その背景や思考プロセスを知ることで、相手との信頼関係を築くことができます。
  3. 妥協点を見つけることができます。双方にとって有益なアイデアがある場合、それらをもとに妥協点を見つけることができます。妥協点が見つかることで、双方が納得できる合意が成立する可能性が高まります。

以上のように、交渉においては双方にとって有益なアイデアが必要不可欠です。

相手の意見や要望に真摯に向き合い、クリエイティブな解決策を生み出し、妥協点を見つけることで、交渉の成功につながります。

客観的基準

客観的に判断できる基準を予め準備しておくことも重要です。

  1. 合理的な提案をするために交渉においては、自分の要望だけでなく、相手の立場や要望も理解し、妥協点を見つける必要があります。客観的な基準を調べることで、自分の要望が合理的かどうかを判断し、相手に提案することができます。客観的な基準をもとにした提案は、相手の理解や受け入れがしやすい場合があります。
  2. 交渉は”フェア”が重要です。客観的な基準を調べることで、自分が求める条件が一般的に妥当かどうかを判断することができます。また、客観的な基準をもとにして交渉を行うことで、相手にもフェアな条件を提示することができます。
  3. 交渉が決裂しないように双方が妥協点を見つけることも重要です。客観的な基準を調べることで、妥協点を見つけるための基準を設定することができます。自分が求める条件が客観的基準から外れている場合、自分自身が妥協する必要があることもわかるため、交渉の進展につながります。

以上のように、交渉においては、客観的な基準を調べることが重要です。

客観的な基準をもとにした提案や交渉は、相手との信頼関係を築くことができ、妥協点を見つけるための基準を設定することができます。

交渉における課題、強み、弱み

交渉における課題や強み、弱みを知る理由は、以下の通りです。

  1. 自己分析ができるため:自分自身が交渉において持っている強みや弱みを知ることで、自己分析ができます。自己分析を行うことで、自分の交渉スタイルを把握し、改善点を見つけることができます。
  2. 相手との関係を築くため:交渉は、相手との信頼関係を築くことが重要です。自分の強みや弱みを知ることで、相手に自分自身を理解してもらい、信頼関係を築くことができます。また、相手の強みや弱みを理解することで、相手との交渉がスムーズに進む場合があります。
  3. セルフコントロールができるため:交渉においては、相手に自分の意見を伝えるだけでなく、相手の意見にも耳を傾ける必要があります。自分自身がどのような課題を抱えているかを理解することで、セルフコントロールができるようになります。相手の意見を聞き、相手の立場や要望を理解し、妥協点を見つけることができます。

以上のように、交渉における課題や強み、弱みを知ることは、「自己分析ができるため」、「相手との関係を築くため」、「セルフコントロールができるようになるため」など、交渉において重要な役割を果たします。

まとめ

交渉力を向上させたい場合は”準備”に時間をかけることが近道です。

孫子の兵法でも有名な「彼を知り己を知れば百戦殆からず」が示す通り、相手の事と自分の事を知ることでどんな戦いも有利に進めることが出来るようになります。

交渉における準備は下記の通りです。

  • 目的、目標
  • BATNA(バトナ)
  • ZOPA(ゾーパ)
  • 双方にとって有益なアイディア・選択肢
  • 客観的基準
  • 交渉における課題、強味、弱み

成長できる人は知識を学び続ける人ではなく、学んだ知識を実践・改良していける人です。

当記事で紹介した内容はすぐに実践することが出来ます。

みなさんも交渉上手になりましょう。