そんなことはありません。
日帰りや1泊の旅行に行く際は計画を立てますよね。何かを実施しようとする際には計画が必要です。それが数か月~数年かかるシステム構築であれば詳細な計画が求められます。
そこで当記事では計画書とは何か、計画書を作成しないとどうなるのかを具体例を用いて解説します。
また、計画書を作成した場合のメリットとデメリットについても触れていきます。
初めてプロジェクトの責任者を任された初心者PMの場合、プロジェクト開始前に計画書を作成しない、または作成したとしてもプロジェクトを成功させるために押さえておくべきポイントを網羅的に計画に落とし込めていない場合があります。
たしかに3日間かけて1人でシステムを作るという場合は計画書は不要かもしれませんが、基本的にプロジェクトはチームで実行します。2名以上が動く場合は計画書は作成すべきでしょう。
そこで今回は初心にかえって、プロジェクト計画書とは何か、プロジェクト計画書を作成しないとどのような未来が待っているかをお伝えします。
具体的なプロジェクト計画書の中身を早く知りたいという方は次の記事をお読みください。
プロジェクト実行計画書とは
プロジェクト計画書とは、プロジェクトの目的およびその目的に到達するまでにどのような道筋を辿るかを記載した資料です。
プロジェクトのメンバーはプロジェクト計画書を指標として仕事を進めます。
もちろんプロくジェクトを進めていく中で計画にはない作業が発生する可能性があります。そのような場合、PMは適宜計画の見直しを行いメンバーに変更内容を周知します。
このプロジェクト計画書ですが、会社によっては「プロジェクト実行計画書」と呼ぶ場合もあります。PMBOK®では「プロジェクトマネジメント計画書」と定義されています。
なぜ計画書を作成するのか
ここではプロジェクト計画書を作成しなかった場合、どうなるかを考えていきます。
身近な例で登山に行くときのことを想像してみてください。
東京都の高尾山のように小学生でも登れる山であっても、次のような計画を立てるのではないでしょうか。
- 【目的】紅葉狩りに友達と高尾山に行く
- 【スコープ】高尾山の帰りには温泉に入ろう
- 【スケジュール】何時の電車に乗れば良いか
- 【コミュニケーション】友人とはどこで待ち合わせするか
- 【調達】昼食は頂上のうどん屋さんで食べよう
- 【資源】行動食として300円分のお菓子を持っていこう
- 【品質】せっかくの紅葉なので一眼レフでいい写真を撮ろう
- 【リスク】怪我した時のために絆創膏を持っていこう
- 【コスト】予算は5,000円まで
- 【ステークホルダー】何かあった時のためにお父さんに行き先を伝えておこう
山に行く際はしっかりと計画を立てるのに、システムを作るとき「今回は簡単なプロジェクトだから」という理由で計画書を作らないとどうなるか予想できますよね。
失敗例①
先ほどの登山の例で見てみましょう。
- 【スケジュール】電車が1時間に1本しかないって知らなかった、これでは頂上に着くころには13時過ぎてしまう。。。(新宿→高尾山口行は10分位に1本ありますが)
- 【調達】えっ頂上にお店ないの??(高尾山にはいっぱいあります)
- 【コミュニケーション】えっ?何?もう高尾山についた??新宿集合じゃなかったの?
- 【コスト】お金足りなくて温泉に入れない!!
- 【リスク】怪我しちゃったけど絆創膏持ってきてないよ~泣
などなど
失敗例②
もう一つ、2009年に公開された小池徹平さん主演の「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(佐藤祐市監督)の一コマを例に挙げます。
ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 【DVD】 価格:4,466円 |
当作品は小池徹平さんが勤めるIT会社で顧客から依頼されたシステムを構築する過程の奮闘劇です。
プロジェクトメンバーが納期に間に合わせるべく奮闘している横で、品川祐さん演じるプロジェクトリーダーがクライアントの機嫌を取るために無茶な仕様変更を二つ返事で引き受けてしまいます。
案の定、プロジェクトメンバーは次々と倒れていきます。
このように、プロジェクト開始時に顧客と変更管理に関する取り決めを行っていないとプロジェクトの未来は不幸な道をたどることになります。
結論
いくら簡単なプロジェクトだからと言って、計画書を作成しないということがどれほど愚かな行為かもうお分かりですよね。
プロジェクトは遊びではなく仕事です。
「計画書は作成する」しかないのです。
計画書を作成するメリットとデメリット
ここまで読んでいただければ計画書を作成することのメリットはすぐに思いつくことでしょう。
メリット | ・計画書に沿って実作業を実施することで、確実に目標に向かって進むことができる。
・スケジュールがあるので、現在の作業が遅れているのか進んでいるのかが確認できる。 ・コストが定量的に設定されているので、何人メンバーを追加したら赤字になるのかどうかが一目瞭然 |
---|---|
デメリット | ・管理する対象が多く計画書を作成するためには相当な動力が必要(PMBOK®が提唱するマネジメントすべき対象は10個のエリアに分解されている)
・大規模プロジェクトであれば計画書が膨大になり、プロジェクト途中での計画の修正が大変 |
計画書を作ることはメリットしかないですね。
プロジェクト失敗という最悪の事態と比べると上記のデメリットは小さいものです。
まとめ
今回は、プロジェクト計画書には何を記載すれば良いかを解説しました。
◆プロジェクト計画書とはプロジェクトの目的およびその目的に到達するまでにどのような道筋を辿るかを記載した資料である。
◆プロジェクト計画書を作成しないと「こんなはずではなかった」のにという事態が多発する。
◆プロジェクト計画書を作成するには相当のパワーが必要というデメリットがある。しかし、プロジェクト失敗に比べたら小さなデメリットである。
では、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。