プロジェクトとは目的を達成するために集団で行う活動のことです。プロジェクトを成功させるためには、マネジメントが重要となります。
そこで当記事ではプロジェクトおよびプロジェクトマネジメントの基本を解説します。
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プロジェクトとは
プロジェクトには「目標」と「期限」という2つの要素があります。
ある目標を予め設定された期限までに完遂させること、それがプロジェクトです。
例えば、顧客から受注したXXシステムの開発を12月31日までに納品する、社内の人事システムを3月31日までに刷新する、などがプロジェクトに当たります。
「目標」と「期限」が設定されている活動がプロジェクトであるので
- 家族旅行で沖縄にいく
- 国家試験を受験する
- マイホームを建てる
などもプロジェクトに該当します。
私たちの身近にもプロジェクトがおおく存在するということは、プロジェクトマネジメントを学ぶことでよりトラブルなく目標を達成する力が身に付き、仕事だけでなく生活にも有益に働くということです。
プロジェクトの特徴
プロジェクトには「複数の制約がある」「不確実性(リスク)がある」「要員はプロジェクトごとに決まる」といった特徴があります。
複数の制約がある
例えばQCD(品質/コスト/納期)があります。
ほかにも、〇月X日にエンドユーザに中間操作説明会を実施する、自社の技術力をアピールするためにAIを用いて開発する、などマイルストーンや技術制約が発生する場合もあります。
不確実性(リスク)がある
プロジェクトは生き物と言われることがあります。
事故や災害、経営状況の悪化などプロジェクトの周りの環境が変化し、未来に何が起こるか予測できないという意味です。
コロナ禍でリモートワークが普及しましたが、あらかじめ予測して対応しておくのは困難です。
要員はプロジェクトごとに決まる
プロジェクトの立ち上げ計画時にそのプロジェクトに適したメンバーを選定します。
過去に類似のプロジェクトを実施していたメンバーは他のプロジェクトを実施中で自分のプロジェクトには参画させることができないかもしれません。
また、設計と開発、テストなどのフェーズごとにプロジェクトメンバーの人数も変動します。
途中から参画するメンバーと共に1つの目標に向かって進んでいく必要があります。
プロジェクトマネジメントとは
マネジメントとは「管理」のことです。
プロジェクトマネジメントとはその名の通り、プロジェクトを管理することです。
管理する人のことをPM(プロジェクトマネージャー)と言います。
ここでは「PMの管理対象」「ステークホルダーの特定」「管理対象の可視化」について解説していきます。
PMの管理対象
プロジェクトを成功させるために様々なマネジメント手法が先人達によって構築されています。
PMはこの手法を活用して、適切にプロジェクトを管理していく必要があります。
- 品質管理
- コスト管理
- スケジュール管理
- リスク管理
- スコープ管理
- コミュニケーション管理
- 人的資源管理
- 調達管理
品質管理
システム構築において、ボタンを押すたびにエラーが発生していては顧客の要望をみたしたとは言えません。
ソースコードのステップ数に対してどのくらいの密度でケースを設定して試験を実施するか、障害が発生する密度はどの程度の範囲であれば適切に試験を実施できたと判断するか、などを予め定めておくことが重要です。
顧客に対してこの数値を満たしているので、品質は安定していますと説明できるようにしておかなければなりません。
コスト管理
プロジェクトの予算は無限ではありません。
適切なタイミングでメンバーを増員したり減員したりしなければなりません。
メンバーが遊んでしまうような状況を作り出すとそれだけコストがかかり、プロジェクトの利益が少なくなってしまいます。
スケジュール管理
プロジェクトには「期限」があります。
その「期限」までに実施しなくてはならないタスクを洗い出し、タスクごとに期限を決めていきます。
特に重要なタスクはマイルストーンとして期限を設定します。
リスク管理
すべてのリスクに予め対処することは不可能ですが、そのリスクが顕在化した場合にどのように行動するかを予め設定しておくことは可能です。
また、リスクには悪い事象(脅威)だけでなく、良い事象(好機)も含まれます。
- 脅威 : 回避、転嫁、軽減、受容
- 好機 : 活用、共有、強化、受容
脅威はプロジェクトへの影響を小さく留め、好機はプロジェクトに大きく影響するように管理します。
スコープ管理
顧客のビジネス環境が変わったり、想定漏れがあったりして、プロジェクト開始時に定めた作業範囲に対して追加作業が発生する場合があります。
顧客が言うから仕方ないというスタンスで要望を受けてしまうと計画が破綻し、プロジェクトが失敗してしまいます。
設計が完了したタイミングなどベースラインを定め、後ろの工程で設計に影響するような変更があれば変更管理として追加費用が必要だということを前もって顧客と合意しておくことが大事です。
コミュニケーション管理
認識齟齬をなくすためには円滑なコミュニケーションが欠かせません。
適切にコミュニケーションを行うために予め顧客への進捗報告会議、内部進捗会議、定例仕様確認会などメンバーが集まって会話する場を設定します。
認識齟齬をなくすために有用な5Cという考え方も提唱されていますので紹介します。
- Correct:正しい文法と正しい記述
- Concise:簡潔な表現および過剰な言葉の排除
- Clear:明確な目的の記載と読み手の意図を捉えた表現
- Coherent:理論的で一貫性のある流れ
- Controlling:言葉と話しの流れのコントロール
人的資源管理
プロジェクトを成功させるためにはメンバーを育成することも重要です。
また、メンバーをいかに目標に向かって活動させるかも管理対象となります。
調達管理
システムを構築する中で既成のパッケージやライセンスを購入する場合があります。
これらをいつどれだけ調達すればよいかコントロールが必要です。
ステークホルダーの特定
プロジェクトを管理していくうえで初めに意識すべきものが「ステークホルダー」です。
PMBOK Guideにおいて、ステークホルダーとは次のように定義されています。
プロジェクト、プログラム、またはポートフォリオの意思決定、活動、もしくは成果に影響したり、影響されたり、あるいは自ら影響されると感じる個人、グループ、または組織
引用:PMBOK Guide
プロジェクトメンバー、顧客、社内関連部署、経営層、これらすべてステークホルダーとなります。
ステークホルダーをしっかりと把握し、良い関係を築くことが重要です。
ステークホルダー特定のタイミング
ステークホルダーはプロジェクト開始時だけでなく、プロジェクトの状況が変わった時点、プロジェクトのフェーズが進む時点で繰り返しステークホルダーの特定を行います。
- 次フェーズに移行するとき
- 現在のステークホルダーがプロジェクトに関わらなくなったとき
- 新しいステークホルダーがプロジェクトに関係してきたとき
- ステークホルダーのコミュニティに重大な変化があったとき
つまり、プロジェクトの状況が変わった際には繰り返しステークホルダーの再確認が必要ということになります。
管理対象の可視化
「管理」するからにはその対象が目に見えるように言語化・数値化する必要があります。
ステークホルダー全員が目指す目標も言語化し共有しなければなりません。
スケジュール管理やリスク管理においても時間や不安というものを言語化・数値化して管理していくことになります。
このようにプロジェクトを管理していく上では、いつ・どこで・誰が・何をしているのかを可視化し、それらを適切に把握しコントロールすることが求められます。
見える化するためのツール
言語や数値として「見える化」するために便利なツール(法則)として「SMARTの法則」や「MORSの法則」があります。
- Specific:具体的でわかりやすいか
- Measurable:測定可能な状態になっているか
- Achievable:対象が明確で役割や権限が与えられているか
- Relevant:現実的な内容であるか
- Time-bound:期限が明確か
- Measured:計測できる
- Observable:観察できる
- Reliable:信頼できる
- Specify:明文化されている
「SMARTの法則」や「MORSの法則」を駆使して、認識齟齬をなくし、同じ目標に向かって活動できるようにしましょう。
まとめ
今回は、プロジェクトの基本ということで、プロジェクトとは、プロジェクトマネジメントとはについて解説しました。
◆プロジェクトとは
プロジェクトには「目標」と「期限」があり、この2つの要素を含む活動をプロジェクトと呼んでいます。
プロジェクトの特徴としては次の3点があります。
- 複数の制約がある
- 不確実性(リスク)がある
- 要員はプロジェクトごとに決まる
◆プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとはその名の通りプロジェクトを成功させるために「管理」することです。
- PMの管理対象としては次のものがありました。
- 品質管理、コスト管理、スケジュール管理
- リスク管理、スコープ管理、コミュニケーション管理
- 人的資源管理、調達管理
- ステークホルダーはプロジェクトに関わる利害関係者全員であり、プロジェクトの状況により繰り返し見直しが必要です。
- 管理対象を可視化するために「SMARTの法則」や「MORSの法則」を用いて、ステークホルダー間で認識齟齬を発生させないようにしましょう。
では、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。