初めてPM(プロジェクトマネージャー)を任されると、無事にやり遂げられるのだろうか、ちゃんと利益を出せるだろうかと不安ですよね。
そこで当記事ではこのような不安を解消するために「プロジェクトを成功させるためのPMのマインド」を解説します。
本記事の執筆者
PMの役割とは
PM(プロジェクトマネージャー)はその名の通りプロジェクトの管理者です。
与えられたゴールに向かって突き進むのではなく、その時々の状況を見極めプロジェクトを成功に導くのが役割です。
プロジェクトを成功させるために、どのような体制で、いつまでに何を、なぜそれをやるのか、今回のプロジェクトではそれは本当に必要なのか、などを真摯に考えて計画を立て要所でその計画を見直すことが必要です。
スケジュール管理やコミュニケーション管理など様々なノウハウが社内や書籍、ネット上に転がっています。これらの先人の知恵を利用しながら感性を研ぎ澄まし最後までプロジェクトに向き合った先に「プロジェクトの成功」が待っています。
決して「作業」がPMの役割ではありません。
要所で計画の見直しが必要だといいましたが、その時々の状況を正しく把握できるように普段から次の点を意識するようにしてください。
- メンバーの様子をよく観察する
- 判断に要する時間を予め見込んでおくこと
それぞれについて解説します。
メンバーの様子をよく観察する
メンバーはPMの行動の鏡です。
メンバーの様子やメンバー同士のコミュニケーションから自分の行動を見直すきっかけを得ることができます。
例えば、プロジェクトルームに活気がないなぁ、プロジェクトメンバーがなかなか相談してくれないなぁ、問題事項をもっと早く共有してほしいなぁと思った場合、PMの態度がプロジェクトメンバーの行動を阻害している場合があります。
プロジェクトの長であるあなたが眉間にしわを寄せて問題が発生することにため息をついていればおのずとプロジェクトルームの活気は失われていきます。活気はPMが作っていくものです。
プロジェクトメンバーから相談を受けた際に、PCに顔を向けたまま受け答えしたり、「今忙しいからあとで」など作業を優先させると相談される機会は減っていきます。相談された時は作業を中断しメンバーからの相談に真摯に向き合うようにしてください。
プロジェクトメンバーからの問題の報告タイミングが遅いと感じたときは、会議の場で間違った意見をすぐ否定する、問題提起してくれたメンバーにそのままタスクを押し付けるということをしないように気を付けましょう。
言った者負けの雰囲気が出てくると誰も問題提起しなくなってしまいます。
プロジェクトがメンバーからの情報をうまく拾えない環境を作ってしまうと、現在のプロジェクトの状況を適切に把握できず、拾えるはずのリスクを見落としてしまい問題が発生することになります。
プロジェクトがうまく回っていないと感じたら自身の普段の行動を思い返してみてください。
判断に要する時間を予め見込んでおく
PMはその時々の状況を正確に把握し、適切に対処する必要があります。
そのためPMの工数を見積もる際は、考えて判断するために必要な時間を見込んでおくことが大切です。
何度も繰り返しますがPMの仕事は作業ではなく、頭を使って問題を取り除きプロジェクトを成功させることです。
PMのタスクが作業のみで構成されている場合は、プロジェクトの雰囲気づくりや発生した問題に対処する時間が取れず、結果としてプロジェクトに活気がない、メンバーが相談してこない、問題事項の報告が遅いと言ったプロジェクトの悪環境が形成されていきます。
人は忙しくなると思考が狭まるものです、あらかじめ余裕をもって判断するために予め
目的共有がカギ
プロジェクトにとって一番良いことは
- プロジェクトに活気があり
- プロジェクトメンバーとの情報交換が活発で、適切な状況を把握できる
- 問題や問題となりうる事象を早期に把握できる
- 余計な作業を行わず必要最低限の仕事で最大限の成果を生み出す
といった状況を作り出すことです。
このような良環境を作り出すためには、プロジェクトメンバー1人ひとりが目的をもって行動し、その行動が他メンバーにも影響を与えチームとして活動していくことが重要です。
目的を常に意識し、関係者全員にも意識させる
一番大切なものはプロジェクトの目的です。
今行っていることは目的に向かっているのか?を常に考えていくことが大事であり、それはプロジェクトメンバーだけでなく、顧客に対しても考えさせるように働きかけることが大事です。
関係者全員に同じ目的を共有し、浸透させていくのもPMの仕事です。
目的が同じであれば、1人ひとりが正しい方向に向かって動くことができ、自律的なチームを形成することができます。
例えば、誤字脱字が1つでもあることは悪だ、顧客の言うことは絶対だ、と考えている人がいれば、作業に予定の倍の時間がかかり当初見込んでいた生産性より低くなったり、顧客のわがままに付き合いあまり意味のない割込みタスクが発生することがあり得ます。
誤字脱字廃絶や顧客は神様といった思考は、プロジェクトを成功から遠ざけてしまう要因となってしまいます。
全員がプロジェクトの目的を意識できていれば、意味のない設計書修正に時間を割くこともなく、顧客の要望を上回る返答をすることができるようになります。
言葉で目的を言い続けても、途中で見失ったり改変されたりするため、プロジェクト立ち上げ時にプロジェクト計画書に明記し、顧客にも説明するようにしてください。
プロジェクト初期だけではなく、フェーズの変わり目などに再度目的の確認と共有を行い、ぶれないチームを作り上げましょう。
時には厳しい判断も必要
プロジェクトメンバーが仕事をさぼる、他メンバーの悪口を言う、他メンバーに仕事を押し付けている状況を把握した場合、あなたはどうしますか?
まずは話し合って改善を促すことは必要です。
しかし、再三の注意にもかかわらず改善が見られない場合は、そのメンバーを交代させる判断も必要です。
プロジェクトに悪影響を及ぼすメンバーが1人でもいるとそのチームには活気がなくなり、問題提起もしなくなり負のスパイラルに落ちていきます。
このような時には厳しい判断も行う必要があります。
判断を迫られるのはなにもプロジェクトメンバーに対してだけではありません。
顧客や「顧客の顧客(エンドユーザ)」の担当者が原因でいくら要求しても必要な情報が出てこず、プロジェクトの納期が圧迫される場合、自社の上位者(部長や事業部長など)から顧客にクレームを入れてもらい、回答の促進を促す、または担当者を交代してもらうように働きかけましょう。
プロジェクトは自分たちだけで実行しているのではなく、顧客含めてプロジェクトが動いているということをしっかりと意識してください。
発注者と受注者の関係で顧客には強く言えないと思われる方もいるかもしれませんが、受注者として一番やってはいけないものは納期を守れない、要望通りの品質を満たせない、人を追加しすぎてコストを赤字となることです。
プロジェクトの目的を考え、目的達成を阻害する要素が出てきた場合には、言わなければいけない場面ではしり込みせずに、しっかりと伝えるようにしてください。
PMという立場を楽しむ
多くの人やお金を動かし、大きな成果を出すことができるのがPMの最大の魅力です。
たまたまPMに任命されたからといって嫌々ながら仕事をしていては、最終的には達成感は味わえるかもしれませんが、再現性がなく自身の成長にもつながりません。
考え抜いて目的を達成できた時の成長は本当に大きいです。
PMになったのであれば成長の機会と捉え、真摯にプロジェクトに向き合ってください。
真摯に向き合うといっても、マイナス方向に考えすぎるのは危険です。
- 死にはしない
- 成長の機会
と捉えてトラブルも楽しむようにしていきましょう。
そうすることで、問題発生時にすぐに行動できる心身の余裕が生まれます。
また、マネジメント能力はどの業界にも通用する最強スキルです。
家庭内でも通用します。
この最強スキルを習得する絶好のチャンスを逃さないようにしましょう。
まとめ
今回は、初めてPMを任された時にプロジェクトを成功に導くためのマインドを解説しました。
◆PMの役割:
- 「作業」ではなく「考える」ことが本質
- メンバーはPMの姿を反映している
- 判断に必要な時間を予め確保しておく
◆目的共有がカギ:
- 目的は顧客を含めた関係者全員に意識させよう
- 目的を共有し浸透させるのはPMの仕事
- 時には厳しい判断も必要
◆PMという立場を楽しむ:
- ネガティブにとらえず成長の機会としてトラブルを楽しもう
- マネジメント能力は最強スキル
では、今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。