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【PMBOK】資源・マネジメント | 対人衝突は課題解決のチャンス

“資源”と聞くと物だけをイメージしがちですが、PMBOKが定める資源マネジメントは”人”も含まれます。

当記事では「資源マネジメントとは」「資源管理計画の立て方」「チーム育成のコツ」「コンフリクトの対処法」についてわかりやすく解説します。

本記事の執筆者
nob
nob
500万~30億円規模まで様々な案件のプロジェクトマネージャ/リーダを務めています。

PMBOKの勉強を進めていくと「10の知識エリア」が登場します。この「10の知識エリア」のうち「資源マネジメント」はメンバーなどの人的資源とPCや消耗品などの物的資源の管理に関する領域です。

本記事を読むと、資源を管理するための計画の立て方、資源の獲得の仕方、プロジェクトチームを育成する際のコツやコンフリクトの対処法がわかるようになりますので、最後までお付き合いください。

資源マネジメントとは

はじめに

PMBOK Guideは大きく「フェーズ」「5つのプロセス群」「10の知識エリア」で構成されています。

「資源マネジメント」とは「10の知識エリア」の1つであり、成果物やプロジェクト自体の資源に関する領域です。

若手管理職にこそPMBOK!10の知識エリアを押さえてベテランの仲間入り初めてPMBOK(ピンボック)という言葉を聞いた方や、勉強してみたけど難しくてよくわからないという方に向けて、PMBOKの全体像をイメージしやすいようにわかりやすく解説しています。...

資源マネジメント

資源マネジメントについてPMBOK Guideでは次のように定義されています。

プロジェクトを成功裏に完了させるために必要な資源を特定し、獲得し、マネジメントするプロセスからなる。

引用:PMBOK Guide

PMBOKで定義されている「資源」の対象は人的資源物的資源の2つです。

つまり、プロジェクトメンバーなどの人的資源とPCや消耗品などの物的資源を管理していくことを資源マネジメントと言います。

資源マネジメントのプロセス

「資源マネジメント」と「5つのプロセス群」との関係性について解説します。

5つのプロセス群との対応

資源マネジメントは「5つのプロセス群」のうち「計画プロセス群」、「実行プロセス群」および「監視コントロールプロセス群」に関係があります。

資源マネジメントと各種プロセス群に含まれるプロセスの関係は下表の通りです。

プロセス群 対象 プロセス
計画プロセス群 人的資源・物的資源 ①資源マネジメントの計画プロセス
②アクティビティ資源の見積りプロセス
実行プロセス群 ③資源の獲得プロセス
人的資源 ④チームの育成プロセス
⑤チームのマネジメントプロセス
監視コントロールプロセス群 物的資源 ⑥資源のコントロールプロセス

6つのプロセス

各種プロセスの役割について説明します。

①資源マネジメントの計画プロセス

品質基準を達成するために、資源の獲得方法、人的資源の育成方法およびそのマネジメント方法、物的資源の管理方法について計画を立てる。

②アクティビティ資源の見積りプロセス

アクティビティ(タスク)を完了させるために必要な人的資源と物的資源の種類/量を見積る。

③資源の獲得プロセス

アクティビティを完了させるために、メンバーやPC、消耗品を獲得する。

④チームの育成プロセス

プロジェクトのパフォーマンス向上を目的として、育成を通じてメンバーのコンピテンシーを高める。

コンピテンシー:成果につながる再現性がある行動特性

⑤チームのマネジメントプロセス

チーム内で発生したコンフリクト(対立)を解消する。

必要に応じてメンバー交代を行う。

⑥資源のコントロールプロセス

物的資源の使用状況を分析し、計画と実行の差異を少なくするための対応策を検討する。

資源マネジメントの計画

資源マネジメントの計画として、「資源マネジメント計画書」と「チーム憲章」を作成します。

資源マネジメント計画書

資源の獲得方法、マネジメント方法、育成方法、管理方法について定義します。

物的資源と人的資源の両方を対象とします。

項目としては下記を記載します。

  • 資源の特定
  • 資源の獲得
  • 役割と責任
  • 体制図
  • チーム育成について
  • 資源のコントロール
  • 表彰計画

チーム憲章

チームの価値観や業務上のガイドラインなどチームの在り方を定義します。

項目としては下記を記載します。

  • チームの価値
  • 作業合意
  • 基本原則
  • グループ規範

チーム憲章はプロジェクト憲章を補完する資料として作成する場合があります。

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資源の獲得方法

内部資源と外部資源の獲得方法について解説します。

  • 内部資源:自社組織内から調達する物的資源および人的資源
  • 外部資源:小売店や協力会社から調達する物的資源および人的資源

内部資源は、自社組織内の人事部長や他部署、他プロジェクトのマネジメントチームと交渉し獲得します。

外部資源は、外部業者と交渉することになります。

また、協力会社メンバーなどの外部資源は「調達マネジメント」を通して獲得します。

内部・外部資源獲得のための交渉はプロジェクトマネジメントチーム主体で行う

プロジェクトを成功させるためには獲得した人的資源を育成していく必要があります。

チームを育成する際のコツ

チームとして成果を上げるために重要な方法を4つ紹介します。

  1. コロケーションとバーチャルチーム
  2. タックマンモデル
  3. 表彰と報酬
  4. モチベーション

コロケーションとバーチャルチーム

プロジェクトの全期間または一時期に、メンバー全員または一部のメンバーを集めて結束力を高める手法がコロケーションです。

電話やメールより実際に同じ部屋に集まって仕事をすることで、質問しやすくなったり休憩時間には雑談をしてチームメンバー間のコミュニケーションが密になっていきます。

反対に、在宅勤務でリモートで一緒に仕事をするチームをバーチャルチームと言います。

コロナ禍にはいり時短勤務していたメンバーがフルで働くことができたり、遠隔地のメンバーとも仕事がしやすくなりました。

チーム力を高めて組織に貢献することを目的としたコロケーションと出勤時間や働き方の自由度を向上させ結果として生産性を高めるバーチャルチームのバランスをうまくとっていくことが求められます。

タックマンモデル

タックマンモデルとは心理学者B.W.Tuckmanが提唱したモデルであり、チームは成立期動乱期安定期遂行期解散期の5段階を経て成長するという考えです。

成立期 探り合い

  • チームとして招集されたばかりで、各人が役割と責任について学ぶ時期。
動乱期 対立

  • 異なる考えや、非生産的な環境になりメンバー間に対立が起こる時期。
安定期 信頼関係

  • メンバーが一緒に作業をはじめ、メンバー間に信頼関係が築かれていく時期。
遂行期 相互依存

  • 相互に依存関係を保ち、生産性が高く、課題に効率的に対処できる時期。
解散期 解散

  • プロジェクトが完了し、解散する。

成立期の間にメンバー間の壁を取り除く活動を行い、動乱期で発生する対立の影響をいかに小さくできるかがキモとなります。

表彰と報酬

プロジェクトに貢献した人やチームを表彰することで、次のフェーズやプロジェクトでのやる気が向上します。

どのような成果を出したメンバーにどのような報酬を与えるのかを事前に決めておくこと。

モチベーション

チームとして成果をあげるためにはモチベーションの向上が必要不可欠です。

モチベーションを高めるためにはメンバーの感情を動かすためにプロマネやリーダー自ら次のような姿勢を示す必要があります。

  • プロジェクトに対する志
  • メンバーを尊重する姿勢
  • 粘り強く頑張る姿勢

また、メンバーの価値観を理解したうえで適切なアプローチをとることでモチベーションを高めることができます。

エドガー・シャインの「キャリア・アンカー」を紹介します。

人は以下の8つの価値観に合った仕事にやりがいを感じるという理論です。

メンバーの価値観 アプローチ
専門家を目指す 昇進よりも特定分野のエキスパートになりたいと考えているため、その分野の責任者に抜擢する。
管理職を目指す スケールの大きな仕事や組織を動かす仕事を好む傾向があるため、チームリーダーの役割と権限を与える。
自立・独立を目指す 自分が納得できるやり方で仕事を進めたいと考えているため、意見を言いやすい環境を用意してあげる。
保障・安定を好む リスク回避を優先し、将来が見通せる環境で堅実にキャリアを歩みたいと考えているため、PMOなど安定したポジションを与える。
クリエイティブな仕事を好む 変化の激しい状況に立ち向かうことを好むため、上流の仕事や複数のプロジェクトを渡り歩けるポジションを与える。
社会貢献を目指す 仕事を通じて世の中を良くしていくことを目指しているため、社会公共事業や産業、流通関係のプロジェクトにアサインする。
純粋な挑戦を好む 「今までに誰も成しえなかったことへの挑戦」を好むため、提案活動やプロマネ、リーダーなどにアサインする。
ワークライフバランスを重視する 仕事とプライベートの両立を意識しているため残業が少ない役職を与える。

コンフリクトはチャンス

プロジェクトを進めていくと様々な対立が発生します。この対立のことをコンフリクトと呼びます。

コンフリクトが発生するということは、プロジェクトが抱えている問題を発見できたということです。

放置せずに適切に対処することにより、チームの結束力が高まりよりプロジェクトの成功に近づくことになります。

コンフリクトの対処法を5つ解説します。

①撤退・回避

コンフリクト発生時に身を引いたり、決断を先延ばしにします。

根深いコンフリクトへの一時的な対処として利用される。

②鎮静・適応

意見の対立部分より、同意できる部分を強調すること。

間接的な問題解決手段であるため、問題が再発する場合がある。

③妥協・和解

ある程度満足できる解決策を模索する方法。

コンフリクトの解消という点では2番目に有効な手段。

④強制・指示

相手に自分の意見を押し付けること。

撤退・回避と同様に根深いコンフリクトへの一時的な対処として利用される。

⑤協力・問題解決

納得するまで話し合い、コンフリクトを解消するための最良の解決策。

ただし、解決までに時間がかかるため工期を考慮した場合別の手段の検討も必要である。

まとめ

今回は、「10の知識エリア」の一つである資源マネジメントについて解説しました。

おさらい

◆資源マネジメントとは「10の知識エリア」の1つであり、人的資源と物的資源に関する領域である。

◆資源マネジメントに関するプロセスは6つある。

◆資源管理の計画を立てる際は「資源マネジメント計画書」と「チーム憲章」を作成する。

◆チームを育成する際は「コロケーションとバーチャルチーム」「タックマンモデル」「表象と報酬」「モチベーション」の4つを意識する。

◆コンフリクトはチャンスと捉えしっかりと対処すべし。

nob
nob
プロジェクトは1人では出来ない。チームをしっかりと育て上げてプロジェクトを成功させましょう。

では、今回はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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