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【PMBOK】スケジュール・マネジメント | 遅延発生時の対処法

スケジュールを作成するコツを知りたい方は多いと思います。

そこで当記事では「スケジュールマネジメントとは」「スケジュール作成時の基本とコツ」「遅延が発生した場合の対処法」についてわかりやすく解説します。

本記事の執筆者
nob
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500万~30億円規模まで様々な案件のプロジェクトマネージャ/リーダを務めています。

PMBOKの勉強を進めていくと「10の知識エリア」が登場します。この「10の知識エリア」のうち「スケジュールマネジメント」はプロジェクトの成否に直結する大事な領域です。

スケジュールを作成してプロジェクトを推進するけどなかなか計画通りに進まない。遅延が発生した際の効果的な対処法が知りたい。という方も多いと思います。

スケジュール作成の基本とコツ、遅延が発生した場合の対処法について分かるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

スケジュールマネジメントとは

はじめに

PMBOK Guideは大きく「フェーズ」「5つのプロセス群」「10の知識エリア」で構成されています。

「スケジュールマネジメント」とは「10の知識エリア」の1つであり、納期管理に関する領域です。

若手管理職にこそPMBOK!10の知識エリアを押さえてベテランの仲間入り初めてPMBOK(ピンボック)という言葉を聞いた方や、勉強してみたけど難しくてよくわからないという方に向けて、PMBOKの全体像をイメージしやすいようにわかりやすく解説しています。...

スケジュールマネジメント

プロジェクトには必ず終わりがあります。

その終わりの日までにどのような順番で作業を実施するか、1つ1つの作業はどれくらいの時間をかけて実施するのか計画を立て、プロジェクト進行中には計画通りに作業が進んでいるかを監視します。

このように「計画を立て」「計画通りに作業が進んでいるかを監視し」、遅延が発生した場合に適宜「対応策を検討」して期日までに成果物を完成させるように調整することをスケジュールマネジメントと言います。

スケジュール作成の基本

スケジュールを作成する際の基本として「スケジュールはゴールから遡って立てる」「クリティカルパスを押さえる」「マイルストンを設定する」の3つを解説します。

スケジュールはゴールから遡って立てる

スケジュールを作成する際は、足元の作業から考えるのではなく作業のゴール(目標)は何かを明確にして、そこから遡っていくように組み上げていきます。

全ては「目標を達成するため」の作業ということを忘れないでください。

ゴールに対してどのような作業や成果物を作っていくかはスコープマネジメント中で作成したWBSを活用します。

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クリティカルパスを押さえる

作業同士の依存関係をつなげていくと、目標を達成するためにいくつかのルートが出来上がります。

このルートの中で一番時間がかかるものが「クリティカルパス」です。

  • プロマネは後工程に何が控えているかをメンバーに意識させ、スケジュールを厳守させるようにしましょう
  • クリティカルパス上の作業を優先的に管理することで、致命的な遅延を防ぐことができる

マイルストンの設定

マイルストンとは以下のようにプロジェクトを完遂させるために必要な「中間目標地点」のことです。

  • 設計書フェーズ完了日
  • 顧客受け入れ試験開始日
  • エンドユーザ試使用会
  • 切り替え判定会議

スケジュールを立てる際はマイルストンを設定することで目標を細分化でき、関連する作業のボリュームを少なくすることができます。

スケジュール作成のコツ

スケジュール作成時のコツとして「3種類のスケジュール表」「適切なバッファの設定」について紹介します。

3種類のスケジュール表

いきなり作業ベースのスケジュールを立てると、全体感が見えなくなり作業の順番や作業期間の設定を誤ってしまう可能性があります。

そのため、スケジュールを作成する際は「大日程」「中日程」「詳細スケジュール」のように3つのスケジュール表を作成することをお勧めします。

大日程

プロジェクトの全体像をスライド1枚に収めたスケジュール表です。

日付は「月」単位で記載します。

こうすることでフェーズ単位の開始/終了を俯瞰して把握することができるようになります。

中日程

1週間毎のスケジュール表です。

特定のフェーズを俯瞰して把握したい時や複数チームの作業の関連性を把握する際に有効です。

詳細スケジュール

作業単位のスケジュールです。

誰がいつからいつまでに何の作業をするかを定義します。

WBSの横に担当者と開始日/終了日および日程を可視化した線表(ガントチャート)で表現します。

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適切なバッファの設定

みなさんも「チームリーダーが多忙で打ち合わせの時間が取れない」、「顧客に質問を投げているのに全然返事がない」という経験をお持ちだと思います。

このように第三者都合でスケジュールが圧迫されるということはよくあります。

スケジュールを作成する際はこういったことを事前に予期してスケジュールにバッファ(作業の予備時間)を設定しないといけません。

ただし、各作業毎にバッファを設置すると「パーキンソンの法則」によりあまり効果がでません。

パーキンソンの法則

夏休みの宿題を最終日にまとめてやるように、人は時間や資源の余裕を残さず使い切ってしまうという法則

そこで、バッファはマイルストン直前やフェーズ終了の直前にまとめてバッファを設けることが効果的です。

スケジュール遅延発生時の対処

プロジェクトを実行しているとスケジュール遅延が発生することがあります。

遅延が発生した際の対応としては「クラッシング」と「ファストトラッキング」の2つが存在します。

クラッシング

クラッシングとは一言でいうとリソースの追加投入です。

例を挙げて解説します。

前提:1人で6日間かかる作業があるとする

進捗:2日経過しても1日分の進捗しかない

分析:想定の半分のスピードでしか進まないので、全部を終わらせるためには12日必要

状況:残り4日間で12日-1日(完了分)の11日分の作業を終わらせないといけない

対処案①:3人いれば4日で12日分の作業を実施できるので2人追加する。

対処案②:1人追加して1.5倍の時間働く(2人×4日×1.5倍の時間=12日分の労働)

このように、現状の生産性を考慮して人や時間を追加投入してスケジュール遅延に対処する方法が「クラッシング」です。

前提/基礎知識の習得等が必要であるため1人追加すれば単純に生産性が2倍になるわけではない。また、コスト増加というデメリットもある。

ファストトラッキング

ファストトラッキングとは一言でいうと作業の並列化です。

例を挙げて解説します。

前提:1人で6日間かかる作業Aがあるとする
この作業が終わらないと、次の作業Bが始められない。

進捗:作業A開始から2日経過しても1日分の進捗しかない

分析:6日目では想定の半分の進捗しか上がらない

対処案:作業Aすべてが終わっていなくても作業Bで着手できる部分を探し並列で作業を進める

このように、特定の作業さえ完了していれば後続の作業の1部に着手できるところはないか探して、作業を前倒しすることが「ファストトラッキング」です。

前段の作業が完全に完了する前に後続作業を始めているので、後々手戻りが発生するリスクがあります。

対処しきれない場合

「クラッシング」と「ファストトラッキング」でも対処しきれない場合は、期間を延長するという最終手段しか残されていません。

プロマネは期間延長を避けるために次のようなことを意識しておく必要があります。

  • 遅延が発生しないようにメンバーの理解度向上や標準作成などの遅延予防
  • 早い段階での遅延の検知
  • タイミングを逃さず早急に対処

スケジュールマネジメントのプロセス

「スケジュールマネジメント」と「5つのプロセス群」との関係性について解説します。

5つのプロセス群との対応

スケジュールマネジメントは「5つのプロセス群」のうち「計画プロセス群」と「監視コントロールプロセス群」に関係があります。

スケジュールマネジメントと各種プロセス群に含まれるプロセスの関係は下表の通りです。

プロセス群 プロセス
計画プロセス群 ①スケジュールマネジメントの計画プロセス
②アクティビティの定義プロセス
③アクティビティの順序設定プロセス
④アクティビティ所要期間の見積りプロセス
⑤スケジュールの作成プロセス
監視コントロールプロセス群 ⑥スケジュールのコントロールプロセス

6つのプロセス

各種プロセスの役割について説明します。

①スケジュールマネジメントの計画プロセス

プロジェクト憲章をもとにして、②~⑥までのプロセスをどのように進めるかを定義します。

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②アクティビティの定義プロセス

スコープマネジメントの「WBSの作成プロセス」で作成したWBSの最小単位であるワークパッケージを構成するアクティビティ(タスク)を抽出し、アクティビティリストを作成する。

  • ワークパッケージ:WBSで管理する最小単位
  • アクティビティ:実務上はワークパッケージより小さいタスクで成り立つ。このタスクをアクティビティと呼ぶ。
【PMBOK】スコープ・マネジメントをおろそかにしたプロジェクトの末路とはスコープマネジメントと聞くとプロジェクトの範囲と成果物を決めてしまえばそれで終わりという印象を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが...

③アクティビティの順序設定プロセス

アクティビティの作業順序をプレシデンスダイアグラム法を用いて決定する。

プレシデンスダイアグラム法:

各アクティビティを四角形で表し、それらの依存関係を矢印で示すことでスケジュールネットワーク図を作成する手法。

④アクティビティ所要期間の見積りプロセス

各種アクティビティに対して、次の4つの見積手法を用いて各アクティビティの所要期間を検討する。

類推見積 過去の類似作業実施時の所要時間を参考に、今回かかる作業の所要時間を見積もる技法。
パラメトリック見積 10ページの資料を作成するのに4時間かかるから、20ページでは8時間かかるというように単位時間を見積もってその倍数で見積もる技法。
三点見積 以下の3点の所要時間に対して加重平均を適用することで所要時間の期待値を求める技法。

  • 最頻値:問題が発生しない場合にかかるであろう所要時間
  • 悲観値:トラブル発生時の最長の所要時間
  • 楽観値:好条件がそろった場合の最短の所要時間
ボトムアップ見積 下位レベルの構成要素の見積を積み上げて全体の見積値を算出する技法。

⑤スケジュールの作成プロセス

ワークパッケージ単位のスケジュールを取りまとめて、全体のスケジュールを設定する。

⑥スケジュールのコントロールプロセス

作業遅延が発生した場合に、予実差異が発生した原因を分析して遅延を解消するための対処方法を検討する。

まとめ

今回は、「10の知識エリア」の一つであるスケジュールマネジメントについて解説しました。

おさらい

◆スケジュールマネジメントとは「10の知識エリア」の1つであり、納期管理に関する領域である。

◆スケジュール作成の基本は「ゴールから遡って計画を立てる」「クリティカルパスを押さえる」「マイルストンを設定する」の3つ

◆遅延発生時の対処法としては人や時間を追加投入する「クラッシング」と並行して作業を実施する「ファストトラッキング」がある。

◆スケジュールマネジメントに関するプロセスは6つある。

nob
nob
スケジュールを作成する際は「目標を達成するためには何が必要」かを意識することが大事です。遅延が発生したら傷が大きくなる前に早めの対処を心がけましょう。

では、今回はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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